久しぶりに石田千の「あめりかむら」を再読。何度読んでも、その度に、その時の心にしみる。
「あめりかむら」は表題作を含む5編を収録した短編小説集で、2011年8月に新潮社から発行されている。しかしその後「文庫化」されることもなく、単行本も新潮社のサイトから消えているので絶版と思われる。
新刊が次々と発売される一方で、人知れず消えていく本がある。業界については詳しくないが、やはり「売れない」ことが一番の理由だろう。それは確かにしかたがないことではあるけれど、「売れない」というのは「読まれていない」ということでもあるわけで、それで「あめりかむら」のような本が消えてしまうのは残念でならない。
でも、そういう僕にもその存在すら知らない本がいっぱいあって、その中には「あめりかむら」と同じ目にあっているものがあるだろう。もちろん、だからといってすべての本を知ることも読むこともできないけれど、だからこそ偶然にも出会うことができ、好きになった本は、一生の宝物として、大切に、何度も読み返したい。
それにしても・・・「あめりかむら」の文庫化はできないものだろうか。切に望む。