「おふくろの味」と言えば「肉じゃが」が定番だが、僕にとってのそれは「餃子」だ。
宇都宮にも浜松にも、もちろん中国にもまったく縁はないが、よく作ってくれた。そして本当においしかった。
その 「おふくろの味」を最後に食べたのはいつだっただろう。その時の僕は、まさかそれが最後になるなんて思いもしなかったはずだ。
「おふくろの味」は、いつか「思い出の味」になる。それはもう、何をどうやっても、二度と味わうことはできない。
テレビや総菜売り場で餃子を見ると、「母の餃子」を思い出す。
もう一度だけ、これが最後なのだと意識して食べたい。