なんとなく聞いていたラジオから「みずいろ」ということばが耳に入ってきた時、真っ先に浮かんだのは「色」ではなかった。
くれよん。「ぺんてるくれよん」。
最後に使ったのはもう何十年も前なのに、それ以来ほとんど目にも耳にもしていないのに、「みずいろ」のたった4文字のことばからはっきりとよみがえるイメージ。
箱(の絵)、匂い、感触、一本一本に巻かれた紙、ひらがなで書かれた「いろ」の名前のやさしさ、、、。
記憶の扉を開く「鍵」は人によって、また扉ごとにも違う。僕の「ぺんてるくれよん」がしまわれていた部屋の鍵は「みずいろ」の「キーワード」だった。