日がな(一日)国語辞典

岩波国語辞典 第八版を流し読みしていたら、「日がな」が目に留まった。

ひがな【日がな】

日一杯そうしたいかに見える状態で(一日中)。「祖母は仏壇の前で━念仏を唱えている」「━働きもせずのらりくらりと」▷「日」+願望を表す助詞「がな」から出た語。 ━いちにち【━一日】一日中。終日。朝から晩まで「━茶の間に寝そべっている」

試しに他の辞書(明鏡国語辞典 第三版角川必携国語辞典 13版現代国語例解辞典 第5版)を引いてみると、どれも見出し語は【日がな一日】で立項されており、語釈も「朝から晩まで(ずっと)。一日中。」といったもので大差なかった。

そこで、独特の語釈で知られる新明解国語辞典 第七版を引いてみると、見出し語は【日がな一日】、語釈は「朝から晩まで、一日じゅう、飽きもせず同じ事を続ける様子」だった。

こうして比べてみると「朝から晩まで。一日中。」を「どんな状態」で過ごしているかに言及しているのは岩波と新明解なのだが、後者の「飽きもせず」は肯定的にも否定的にもとれ、それによって印象が違ってくる。そんなわけで僕は「日一杯そうしたいかに見える状態」(願望)であると明言している岩波の語釈の方が好きだ。

もちろんこれは個人的な好みの問題であって辞書の優劣ではない。そもそも特定の辞書の語釈がいつでも一番とは限らない。僕にとって確かなのは、複数の辞書を読み、比べることが、単純に楽しいということなのだ。

*記事執筆時の新明解国語辞典の最新版は第八版、角川必携国語辞典は不明